放課後恋愛
「やっ…!何してるの!?」
髪の毛に電流が走ったような感覚がして、大きく体を仰け反らせた。
「何って……キスだろ?」
当然と言わんばかりの表情を見せる九条君に、体が固まる。
「戸締まりするから、ちょっと待ってて?」
九条君は掴んでいた私の手首をスルリと離して、自習室の窓を素早く締めはじめた。
“無視して今のうちに逃げちゃおう…。”
この状況なら即座にそう考えて実行に移すはずなのに…
何故か私はそうすることが出来ずに、ただ呆然と立ったまま、九条君の戸締まりをしている姿を目で追うことしか出来なかった。