放課後恋愛
はぁ……。
なんだか、九条君の思うがままになってる気がする…。
流されたくないのに…
気付いたら、完全に飲み込まれてるんだよね…彼のペースに…。
全く、油断ならないよ…九条君は…。
月明かりに照らされる帰り道を、いつもよりも速めの足取りで歩いていく。
これ以上、九条君のペースに狂わされないように…、なるべく早く家に帰るためだ。
家までは徒歩で約25分。
今の速さで歩けば、少し時間を短縮出来るし、20分も掛からずに到着するはずだよね…。
心の中で考えていると、少し後ろを歩いていた九条君から“紗智。”と呼ぶ声が聞こえてきた。