放課後恋愛
「でも、かくまってくれた恩人の名前は覚えておかねぇと。あ、ちなみに俺は九条 綺斗。」
そんな恩人呼ばわりされても…特に何もしてないよ私…。
「名前なんて覚えなくてもいいと思うけど。」
「いいじゃん、教えてよ。」
「…………。」
教えるつもりは無かったものの、九条君に興味津々の表情で顔を覗きこまれたため、根負けしてしまった。
「名前は、藤野 紗智。教えたんだから、もうちょっと離れてよ。勉強に集中出来ないじゃん。」
冷ややかな視線を投げ掛けたけれど、九条君は全く堪えることなく、横からニコニコしながら私を見たままだ。