放課後恋愛
「俺には何も言ってくれないの?紗智。」
その声を辿って見上げると、九条君がニヤッと笑いながら私を見ていた。
そ、そうだ…
九条君もいたんだっけ…。
航と結希の言葉と笑顔で和んでいて、忘れかけてたのに…。
「なっ…なんで、九条君に“ただいま”って言わなきゃいけないのよ…。」
「俺も航や結希と一緒に紗智を迎えに来たのに、冷たいよな…。」
私と同じように、九条君もその場にしゃがんだ。
「でも、そういうツンとした冷たい態度をとる紗智も好きだよ。」