放課後恋愛
パタンとゆっくりドアを閉める九条君の傍から、私は大慌てで離れた。
こっ、こんな状況…
一番避けたかったのに…。
“二人きり”
その言葉が妙に頭の中を駆け巡る。
じわじわ…どころか、急激に顔の温度が上昇していく感じだ。
「紗智?なんか、顔…赤くねぇか?」
それは表面的にもでていたようで、九条君に直ぐに訊ねられてしまった。
「なんでもないから大丈夫…。気にしないで。」
顔を見られないように九条君に背を向けると、握りしめていた携帯電話のバイブが突然震えた。