放課後恋愛
「朔矢君、あ、あの…お昼寝してた結希が起きちゃったみたいだから…、そろそろ切るね…。」
『そっか…、了解。いきなり電話かけちゃってごめんね。』
頭に浮かんだ言葉を咄嗟に声に出すと、朔矢君からは少しトーンの落ちた声が返ってきた。
「こっちこそ、ごっ…ごめんね…。それじゃあまたね…。」
気まずさを感じながら、会話を終わらせようとすると…
『あっ、さっちゃん!』
朔矢君の声が飛んできた。
『今日…、図書館で会えて良かった…。俺、さっちゃんの返事…待ってるからね…。じゃあ、また明日…学校で…。』
穏やかで優しい声に、図書館での出来事が一瞬にして頭に浮かぶ。
私は朔矢君が電話を切った後も、少しの間、携帯電話を耳元にあてたまま固まってしまった。