放課後恋愛
「紗智、電話終わったんだろ?どうしたんだよ?」
「へ?」
ハッと我にかえり、視線を少し落とすと、お腹に回されている九条君の片手が映る。
そっ、そうだ…!
早く解放してもらわなくちゃ…。
「九条君っ!電話終わったんだから、いい加減に離してよ。」
必死に逃れようとする私の手から、九条君は携帯電話をとって、傍の小さな丸テーブルにのせた。
「俺は、紗智を離す約束をしたわけじゃねぇけど?」
フッと笑い声が聞こえたかと思うと、空いていた手を胸の辺りに回され、ますます強く抱きしめられてしまった。