放課後恋愛

「また後でな、紗智。」


九条君は、私の顔を横から覗き込むと頭をポンポンと撫でる。


そして、優しい笑顔で手を小さく振りながら席へと戻って行った。


その直後、先生が教室に入って来たこともあり、九条君の行動にビックリしていた女の子たちも慌てて席に着き始める。


知穂さんも、まだ放心気味な表情だったけれど、ゆっくりとした足取りで自分のクラスに戻って行った。


「紗智、このことは後でゆ〜っくり話を聞かせてもらうからねっ!」


汐莉はニヤニヤしながら、私の肩をバシッと叩くと、かなりご機嫌な様子で席に戻って行ってしまった。


ふと朔矢君を見ると、私に気まずそうな笑みを向けた後、席へと歩いていった。


な、なんか凄かったな…今朝は。


今まで、朝と言えば静かに予習や復習をしたり……


あるいは汐莉と一緒に、ほのぼのと取り留めのない会話を楽しんでいたというのに…。


こんなに刺激の強い朝は…初めてだよ…。



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