イジワルな先生
「まぢで何だよ…変な真凛。」


そういえば、工藤は私のことをずっと2人きりのときは名前で呼んでる。


それは工藤にとっては何でもないことでも、私にとってはとても嬉しいことだった。


やばい…名前で呼んでもらえるなんて嬉しすぎるよ?
てか、初めて会ったあの日から、名前で呼ばれてるよね?



やばい、やばい、やばい…


終止ニヤケ顔の私に、工藤が一言、さらに冷たい言葉。


「うっざ、お前。」



うぅ〜。
やっぱ冷たいし、イヂワルだけど、それでも好きだもんね。



「先生はさぁ…彼女とか…その、いないの?」


自分でも驚くことを口ばしっていた。
今、私はどんな顔してるかな?
絶対、真っ赤だよね…。



工藤は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに元の表情に戻り、薄笑いを浮かべた。



「彼女かぁ。さぁな?まぁ、いたとしてもお前には関係ねー話だろ?」


その瞬間、私は頭を金づちで思いきり殴られた気がした。
どうして先生はそんな酷いことを言うんだろう…?



私はこんなにも好きなのに。
私はいつのまにか、工藤を先生と呼んでいた。



先生にとって、やっぱり私はただの生徒でしかないんだね?




気付いたら、私は泣いていた。
涙が頬を伝っていた。
先生の前で泣きたくなんかないのに、一度溢れ出した涙は止まらない。



「うっ、ひっく、うぅ…」


「なっ!お前…どうした!?」


先生が近付いてこようとしたから、泣き顔を見られたくなくて私はその場から逃げ出した。



「真凛っ!!」


背中から、先生の私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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