成熟と化して

「てめーのせいだ!!龍神!!」

父さんは怒りの矛先を龍神に向け、今度は龍神を殴ろうとした。

しかし、それも叶わなかった。紙田が勢いよく靴を投げ、父さんの頭にミラクルヒットしたからだ。

そして、里果たちに挙げた牛乳パックを里果の手から取り、思いっきりそれで頭を叩いた。

牛乳は飛び散り、風紀委員長まで被害を及ぼした。

父さんは、気絶した。

「むかつく奴だな。こいつ。裸で吊るして、沿道にやろうかな」

「やめろ。少なくとも俺たちの父さんだ」

「本当はそうなってほしいんだろ?」

「…」

風紀委員長は紙田の言ったことを黙殺したあと、

「暫く、こいつら預かってくれないか?」

龍大と里果を指差した。

「別にいいけど」

「悪いな」

「その代わり、文化祭のこと許してよ」

「はいはい」

軽く返事したあと、父さんを担ぎ、店の奥へと連れていこうとしている龍神に紙田は質問をした。

「そんな奴でも、大事なのか?」

「…ま、俺の父ちゃんだからな」

そう言ったあと、龍神は店の奥へと消えていった




龍神に頼まれた紙田は、里果と龍大を家に連れ込み、いろいろと面倒をみた。

「はい、これは爆弾と言って…」

と、変なことを教えていた。

しかし、先ほどの件を引きずっているのか、里果と龍大の顔は暗かった。

「どした?」

「…兄ちゃん、大丈夫かな」

「大丈夫だろ。あいつなら」

「父ちゃんが機嫌が悪いとき、いつも兄ちゃんを殴るの」

「マジか」

「兄ちゃん、実の父だからって理由で、いつも抵抗してない」

「……」

「いつも殴られ続けている」

「父ちゃん、嫌い!!あんな奴、地獄に堕ちて閻魔様に舌抜かれたらいいのに」

「舌抜かれるのは嘘ついた話ね…それにしても」

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