成熟と化して

紙田は何かを考えるように肘をテーブルについた。




次の日、集会があった。
いつもなら紙田は出ないが、今日は風紀委員長が心配で見に行った。

案の定、顔は腫れていた。しかし態度は堂々としていた。

―あいつ…すげーな

心の底から紙田は思った。


集会を途中から抜け出し、部室へと向かう。
佐藤はいなかったが、それは何の問題もないと言った感じで、部室の本棚にある本を見始めた。

そして何冊から取ったあと、調べ始めた。




学校のいる時間だったが、紙田は風紀委員長の母親が働いている店に行った。

一瞬見ただけだが母親の顔を覚えており、すぐに分かった。

よく見たら、腕に複数の青アザがあった。

「すみません」

「はい…あ、里果と龍大を預かってくれてる人ですよね?」


紙田は少し驚いたが、すぐにまた真剣な顔に戻った

「用があるので、夜に会ってくれませんか?」

「?…わかりました」

そう言ったあと、会う場所、時間を決め、紙田はまた学校に戻った。

学校に戻ると生徒指導の先生が立っており、こっぴどく叱られたが、紙田は気にしなかった。



夜。

ファーストフード店の椅子に座りながら、紙田とお母さんは話をしていた。

「あの…お話とは何ですか?」

風紀委員長のお母さんが、紙田に尋ねた。

「あなたの夫のことです」

「……」

風紀委員長の母はさっそく俯いた。

「あなた、龍神や、里果や龍大が暴力振るわれてること知ってるでしょ?あなただって…!!」


「……」

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