成熟と化して
@
数日後
「あ、龍大、みてみて!!私たちの荷物があるよ!!」
「本当だ!!」
「荷物なかったら、何かと不便だろ」
「わーい!!」
「わーい!!」
「ま、落ち着け」
紙田は里果と龍大を落ち着かせたあと、荷物を出し始める
「あれれ?兄ちゃんちのもあるよ?」
「本当だ。隊長、何で?兄ちゃんも来るの?」
「何となくじゃない?」
「「なるほど!!何となくか」」
龍神の荷物は段ボールの中に残し、龍大と里果ののは外に出し、タンスに入れた。
「明日の幼稚園ね、遠足なんだ!!」
「なんだ!!」
「うわっ!!いいなー。背中にくっついて、行っていい?」
「「いいよー!!」」
「…いいのかよ」
すっかり元気を取り戻したように見える里果と龍大だが、まだ龍神を心配するようだった。
「ところでさ」
紙田は気にかけたことを言った。
「何で母さんの心配はしないんだ?」
「「兄ちゃんが守ってるから」」
冷めた声で紙田の問いに応える二人。
「嫌いなのか?母さんも?」
この問いも冷めた声で応える二人。
「「嫌いじゃないよ。ただ、役に立たない人間だから」」
―恐ろしいな…
気持ち的に少し後退りをして
「ま、母さんが役に立つ、立たないかの判断はもう少し待ってくれないか?」
同時に二人は紙田の方を向く
「少なくとも、龍神の母なんだ」
ニヤリと紙田は笑い
「強くないはずがない」
@
調停が始まった。
離婚に向けての、だ。