成熟と化して



「風紀委員長さん、はい」

佐藤が風紀委員室に、袋にいっぱい入った毛虫を出した。

「……」

―そういや、そんなこと言ったな

と、龍神は思った。
そして気にかかることを佐藤に聞いた。

「おめー、この話、ずっと毛虫探してたのか?」

「はい。やらなければならないことはちゃんとしますので」

「……そうか…偉いな」

「どうも」

佐藤は風紀委員室を後にした。

誰もいなくなった部屋で、龍神は考えていた

―この毛虫、どうしよ。

と。
それと同時に、毛虫が一匹袋から出たのに龍神は気づかなかった。


-end-


< 115 / 202 >

この作品をシェア

pagetop