成熟と化して



「うまく逃げ切ったようだな」

蜂がこっちを来なかったのをいいことに、紙田はオレンジジュースを飲んでいた


「なんか…痩せたか?」

「はい、かなりスプラッタの展開になりました」

「そうか」

そう言うとまたジュースを飲む紙田。
大方、蜂を粉々にして退治したのだろうと思ったからだ。


「少し寝ます」

「おー寝ろ寝ろ」


佐藤はソファに寝転び、そのまま眠りについた。




佐藤は夢を見た。

「…佐藤くん」

「…ん?」

見ると、蜂の子きみこがいた。

「私のこと思い出した?」

「……」

目を細目、蜂の子きみこをみる

「知らねーな。きみこだったっけ?いつ頃出会った?」

「幼稚園のときよ」

「全然記憶にねーや。幼稚園だった?」


「三並竹屋幼稚園よ」

「チッ…一緒か」


「何よ、さっきの舌打ち」

「何組?」

「チューリップ組よ」

「俺タンポポ組だ」

「あら、じゃあ二個上なのね」

「ていうかこの会話、絶対読んでる人は理解できないよな」

「いいじゃない。二人だけの世界に逝きましょう」

「そんな世界、断固拒否する」

「もう照れちゃって!!」

きみこは佐藤の肩を思いっきり叩いた

「痛てーよ!!つか、力強いな!!」

「私とあなたの愛の証よ」

「ていうか、さっさと夢さめねーかな」

「あら、私との恋を夢だと思ってるの?大丈夫!!!覚めないから!!一生」


「……出来れば覚めてほしいわ」


と、ここで本当に夢がさめた。


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