成熟と化して

「ふわぁ~」

「よく寝てたな」

「はい…きみこが襲ってきました」

「誰?きみこ…?」

「蜂の子きみこです」

「あの巨大蜂か…なるほど、怨みで出てきたのか」

「ま、ある意味で怨みですね」

微妙に会話が噛み合った瞬間だった。奇跡奇跡。わはははは


「弁子が壊れました」

「壊れたな」




佐藤は家に帰り、幼稚園のアルバムを引っ張り出した

きみこを調べるためだ。

「絶対、結婚の話なんかしてないからな」


ページを捲るごとに、自分の服装のダサさを恥じた。

―なんでズボンに服を入れてるんだよ

「あ、いた…」

踊るべきことに、きみこと本当に幼稚園が一緒だった

「石原紀美子…」

―全然記憶にない。

どうやら、年中のときは一緒のクラスだったらしい。

「いつ言った?」

「思い出した?」

唐突に紀美子の声が聞こえた。
紀美子が窓から入ってきたのだ。

「……」

「私のこと、思い出したでしょ?」

「いいや、思い出せない」

「……」

白い顔をして、紀美子は固まった。

「おお、本当に人間って白くなるんだ」

と、変なことに関心を持ったこと。

「てか、いつ言った?回想したよ」

「…あ、わかった」

紀美子はパッと色を取り戻した。

「じゃあいくわよ」




あれは、まだ私が年中だった頃。
運命の出会いが訪れた。



「早いな、幼稚園で運命の出会いかよ」

「黙りなさい」



その子はあまりにも純粋に笑っていた、かわいい男の子だった



「あー、あのとき作り笑いばっかしてたな」

「黙りなさい」




いつも黒い服を着て、スボンに服をいれていた。



「さっさと話せよ、俺と」

「わかったわよ」



んで何やかんやあり、男の子は私に

「結婚しよう」

と言った。
私はもちろん

「はい」


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