成熟と化して

「何やかんやって何だよ!!!その間のことを教えろよ。どういう経緯なんだよ」

「わかったわよー、いちいちうるさいな」



「紀美子ちゃん、パンツ見えてるよ」

笑顔で佐藤くんは私に言った。それが初めての会話だった。



「なんちゅう会話から入ってるんだよ」



「あ、本当だ、わかんなかったー」



「絶対わかっててやってるよ、こいつ」



「じゃあね、紀美子ちゃん」

「あっ!!待って!!佐藤くん」

「ん?何?」

「わ…私…その…」

「わかってるよ。パンツの色なんか興味ないから」

「え?」

―結婚!!!


「じゃあね、紀美子ちゃん」

「私、待ってるから!!絶対、一生待ってるから!!!!」


佐藤くんとの会話はこのとき一回だけだった。

でも、いつか佐藤くんが迎えにくるまで、待ってるつもり



「待ってるつもり…って、その会話に結婚って文字でたの、お前の勘違いだけじゃん」

「いいの!!私がそう思ってるから!!」

「何?まだ俺のこと好きなの?一途ってやーね!!」

「うるさい!!もう私と結婚しろよ!!」

「なんか脅してきたし」

「結婚してよ!!」

「いや、まだ16歳だからね」

「いいじゃない、結婚してよ」

「嫌だよ。法律ぐらい守れって…不法侵入してる時点で法律守ってないよな」

「意外に真面目なのね、そういうところも好きよ」


「…誰かこいつを撲殺して東京湾に沈ませて」

「もう照れちゃって!!」

そう言って、肩を叩こうとしたが、佐藤は避けた。

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