成熟と化して
祝!!140ページ目!!
〇゜
今日は、あの人の誕生日だった。
幼い頃、俺と父さんを捨てた、あの女の人の。
父さんは小さいが、会社を経営していた。
この女の人は、重役だった。
しかし、この女の人は父さんを裏切り、会社は倒産。
家は借金まみれになった。
そんな時、父さんが不慮の事故で亡くなった。
いや、もしかしたら自殺だったのかもしれない。
ま、生命保険がおりた。
借金が返せるほどの。
俺は、あの女の人のところに預けられることになった。
この女の人は俺に
「私のこと、恨んでる?」
と言った。
「ううん。恨んでないよ」
これは本心からだった。
別にこの女の人のせいじゃないと思ったからだ。
家事も会社もこの女の人に任せっきりだった、父さんにも非がある。
だったら別にこの人を恨む必要はないと、小さいながらに考えた結果だ
それともう一つ。
この人は、俺と顔が似ていたからだ。
俺はどうやらこの女の人に似てしまったらしい。父さんには全然似てない。
100%、目も鼻も眉も口も、輪郭さえも似ていた。
まさに生き写し、らしい。他人が言うには。
だから、他人には思えなかった。もう一人の自分だと錯覚してしまいそうだった。