成熟と化して
「嫌に決まってるだろ」
「じゃあ諦めて下さい」
「はいはい」
あ、と先輩は言ったあと
「お前に一つ…ん?一つだけだっけ?3つだったよーな」
「言って下さい」
「盛り上げ部なんて、クソもへったくれもねー部活、誰も入らないだろ」
「…」
「入るとしたら、相当の変わり者だ。お前みたいに」
「…」
「でもな、一人でもちゃんとみんなを盛り上げ、部活をするんだぞ」
「はーい…」
「部活なんて、社会人になったらないしな」
「金出したらありますけどね」
「うるせー、わかったな?」
「はい。わかりました。要は先生脅して部員寄越させればいいんですね?」
「いや、違う。…ん、待てよ。それでもいいかもな」
「先輩は二年のとき一人だったんですか?」
「おお、だからいかがわしい本ばっかり見てた」
「そんな堂々と言えるなんて…同じ男として尊敬します!!!」
「ふふふ…参ったな」
少しほほを赤く染める先輩。
「おーい、真下ー」
遠くで、先輩の友達が呼んでいる。
「あ、じゃあな紙田」
そう言うと、先輩はその友達の方へ行ってしまった。
「………」
紙田は無性に悲しくなってきた。
まるで、永遠の別れのような気がしたからだ。
実際、携帯に先輩の電話があるので、会おうと思えば、会えるだが。