成熟と化して
訂正する芽達に構わず、
「あれ…?でも前は真面目だったよな?何?今頃不良デビュー?」
「いや…その…」
不良もどき芽達は、紙田の質問に動揺して、上手く舌が回らない。
そのときに、卒業生入場の放送が流れた。
「芽達くんも早く並んだら?」
「ああ…そうする」
素直に並ぶ芽達くん。
周りの視線が少しチクチクしていたが、芽達くんは耐えた。
芽達芽達芽達。
紙田のクラスが入場する少し前、芽達はあることを思いついた。
―入場のとき、紙田を転ばそう
と。何ともちゃっちい作戦だった。
しかし、精神的攻撃にはうってつけだった。
―んー…どうやって転ばそうか…。
芽達がいい案はないか考えている途中に、紙田のクラスの番がきた。
しかし芽達は考えることに集中しすぎて、それに気づかない。
―んー…
そんなとき
「芽達くん。私たちの番よ」
と、隣の女子が芽達に言った。
「え……あ…」
慌てた芽達は、レッドカーペットに引っかかり、
「べぶじっ…!!」
転んでしまった。
保護者は笑いをこらえ、クラスの人は笑っていた。
「芽達ー、何してんだよー」
「大丈夫?」
等の声を掛けられながらも、芽達は立ち上がり、羞恥の中レッドカーペットを歩いた。