成熟と化して
「あ…あの、続けていいですか?」

校長が遠慮気味に言う。

「あ、…はい」

芽達は、顔を赤らめ俯く。

隣の男共は、芽達を一瞥したあとまた校長のつまらない話を聞いた。





退場もし、芽達たちは教室に向かった。

いよいよ最後の別れだ。


―…ああ、会えなくなるのか
少し寂しいな

―あいつ、性格も顔も悪いが、いいライバルだった。

―このまま別れていいのか?


芽達は、紙田の方へ近づく。

「紙田…」


「ん?」

―相変わらず、にやけた顔がむかつくっ

「今までありがとうな」

「俺、何かしたっけ?」

しまくりだ。だから俺は警察に捕まった。

「いい、ライバルだった」


「よくわかんねーけどさ、いい戦いだったな」


「ああ」

俺は、今ならはっきりと言える。心底から。
この紙田に、ありがとうって。


「ところでさ…」

「何だい、紙田」

「あなた誰ですか?」

「………」

―何その他人行儀。


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