成熟と化して
―盛り上げ部、部室にて
佐藤はある違和感を覚えた
「あの…先輩…?」
「ん?」
相変わらず、いかがわしい本を読みながら、返事をする紙田。
「その背中の上に乗ってるの何ですか?」
「これか?」
「はい」
「赤ちゃんだ」
「……」
「……」
―なるほど、そういうこと
「いや、待て。今何を考えた!!?」
珍しく慌てる紙田。
―やっぱり
「何がやっぱりだ。俺の子じゃない」
「へー…何でまた赤ちゃんなんか?」
「知り合いに頼まれた。一週間」
「がんばれ」
「おまえも手伝え!!!」
「そもそも、赤ちゃん、学校に連れて来ていいんですか?」
「おお」
「いや、おおじゃないでしょ!!普通ダメですから!!」
「いいんだよ。俺は」
―あ、そっか。先生たちの弱味握ってるからか
と、佐藤が変な納得をしたのを感じてか
「じゃあ、今から、盛り上げ部で一週間、子育てを開始する!!!以上」
「以上じゃないですよ!!何で俺も入ってるんですか!!」
「うわぁ~ん!!」
佐藤が大声を出したせいで、赤ちゃんが泣き出した。ちなみに、0歳か1歳ぐらいだと思ってくれたらいい
そんな純粋な赤ちゃんに、紙田は
「泣くな!!!泣いたってあいつは帰ってこないんだぞ!!!」
―何、この設定。
と、佐藤は冷ややかな目で紙田を見た。