成熟と化して

「頭大丈夫?」

本気で心配する紙田に、佐藤はやはり冷静に

「あんたが大丈夫か?」

「おう!!もちろんだ!!」

と能天気に明るい声で紙田は言った。
そんな紙田はほっとき、朝からずっと変えてないオムツを変えようと、佐藤が赤ちゃんがいる布団を見た

―いない…

「ああ、赤ちゃんならハイハイしながら、どっか言ってたぞ」

「いや、止めようよ!!」

「散歩だろ?いいじゃん、散歩ぐらい」

頭が完璧に壊れてしまった紙田を佐藤は冷たく一瞥したあと、赤ちゃんを捜しに廊下に出た

「ハイハイだから、そんなに遠くにはいけない…よね?」


しかし、赤ちゃんは、どこを捜してもいなかった。

階段にも、上にも上がってみたが、いなかづた。

どこにもいない。

仕方なく、部室に戻ると、赤ちゃんが布団の中で寝ていた

「………」

「おかえり~」

明るく紙田が言う

「佐藤、おまえ何で廊下に出たんだ?」

「………」

「部室にいたのに、何で廊下に出たんだ?」

紙田の肩が震えてる。どうやら必死に笑いをこらえてるらしい。

「……」

「いたのにねー」

茶化す紙田にとうとうぶちギレた

「んにゃろー!!調子こくなや!!!」

佐藤はテーブルにおいてあった手榴弾のあれを抜き、紙田に投げつけた。

シーン。

何も起きない

「あ、これレプリカだから」

冷静に言う紙田

「……」

佐藤はゆっくりと台所に行き、空の哺乳瓶を持った。


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