成熟と化して

「お疲れさまです」

舞台袖で待っていた佐藤は、紙田に水のはいったペットボトルを差し出した

紙田はありがとうと言って、ペットボトルを受け取ると、くすくす笑いだした

「しかしバカだな、あいつら」

「?」

「本物のうん〇なんか使うわけねーだろ」

「たしかに」

実際、あの臭いは、東〇ハンズで売っていた、『うん〇の臭いの香水』だった。
それを吹き掛けただけだ。

「それに飛んだのだって、上で糸つっただけだし」

「それは知らなかった。腹黒いですね」

どうやら紙田はちゃっちい裏工作が得意らしい

「これで優勝は間違いないな」

とニヤニヤしながら、他の部活の出し物を見に行く、紙田と佐藤だった。




「文化系で勝ち残ったのは…盛り上げ部です!!」

他の部活からは、ブーイングがあったが、観客からは拍手をされた

「下品な奴等が多いな」

と紙田は小声で佐藤に言った

「先輩がそれを言うな…です」

変な言葉遣いだったが、紙田は特に気にすることもなく、舞台を見ていた。

―絶対優勝してやる

その思いが、胸の中を熱くしていた。

「ちょっとあんたらさ」

後ろを振り替えると、クッキング部の部員がいた。

「あんたらさ、わざとでしょ」

名札の色からして、どうやら三年らしい。

< 36 / 202 >

この作品をシェア

pagetop