成熟と化して
「お疲れさまです」
舞台袖で待っていた佐藤は、紙田に水のはいったペットボトルを差し出した
紙田はありがとうと言って、ペットボトルを受け取ると、くすくす笑いだした
「しかしバカだな、あいつら」
「?」
「本物のうん〇なんか使うわけねーだろ」
「たしかに」
実際、あの臭いは、東〇ハンズで売っていた、『うん〇の臭いの香水』だった。
それを吹き掛けただけだ。
「それに飛んだのだって、上で糸つっただけだし」
「それは知らなかった。腹黒いですね」
どうやら紙田はちゃっちい裏工作が得意らしい
「これで優勝は間違いないな」
とニヤニヤしながら、他の部活の出し物を見に行く、紙田と佐藤だった。
※
「文化系で勝ち残ったのは…盛り上げ部です!!」
他の部活からは、ブーイングがあったが、観客からは拍手をされた
「下品な奴等が多いな」
と紙田は小声で佐藤に言った
「先輩がそれを言うな…です」
変な言葉遣いだったが、紙田は特に気にすることもなく、舞台を見ていた。
―絶対優勝してやる
その思いが、胸の中を熱くしていた。
「ちょっとあんたらさ」
後ろを振り替えると、クッキング部の部員がいた。
「あんたらさ、わざとでしょ」
名札の色からして、どうやら三年らしい。