成熟と化して



―ふぅ、何とか逃げれたぞ

風紀委員長は奥様方集団から逃れ、今は校舎内にいた。

頭の中には盛り上げ部の不安ではなく、紙田に対する怒りで満ち溢れていた

「くっそー、あいつめ…」

―風紀委員長の名において、紙田を絶対退学させてやる。

「はいはい、どいて」

都合よく紙田の声を聞こえてきた。
風紀委員長の目が獣を狙う虎の目つきに変わる

「かーみーたー!!!!」

猛スピードで紙田に向かっている
さすがの紙田も慌てて逃げ始める

しかし、風紀委員長の方が足が早いので徐々に距離が短くなってくる

―やべっ…追い付かれるッ!

紙田は少し戸惑っていたが、手つきは滑らかで、制服のポケットから手榴弾を取り出した
そして立ち止まり、風紀委員長の方を見た。

「あんたが俺を捕まえようっていうなら…って…」

風紀委員長は蹴りあげ手榴弾を紙田の手から離させた

「で、何?」

不敵に微笑み、紙田を捕まえようとした。

しかし

―パンッ!!

紙田が拳銃を撃った
いや、おもちゃなんだけどね

「これ、結構痛いだろ。改良はしてないけど」

いつも通りのニヤニヤした笑み

「…紙田」

手に当たったのか、手を抑え痛そうな顔をする。

辺りは沈黙に包まれた

―ピンポンパンポン

何故か校内放送の音がなった

「えー皆様」

冷めた声が学校中に響く。

「今から…もう始まってるかもしれないけど…、爆発音、銃声などは、文化祭でやってる舞台でーす。場所は学校のどこか。都合がよかったら見れるかも。じゃあ、終了」


ブチッと音と共に、また紙田たちの周りは静寂が満ちた

それから暫くして、なんだ演技だったのかと周囲が安堵し始めた


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