成熟と化して
「おい、紙田」

風紀委員長が紙田に問いかける。返事はなかった。
だが構わず言い続ける

「俺は少し反省した。周囲の安全も考えず…だから人気がいないところに…」

風紀委員長は紙田の方を向く

「……」

風紀委員長は驚愕の真実を知った

「……いない」

紙田はとっくに逃げていたことを。




―ふふふ

紙田たちの文化祭に一人の怪しい男が近づいてくる
顔は不気味に笑い、何かを企んでいそうは雰囲気を纏っていた

案の定、

―文化祭をぶっ潰してやる

などと、口に出してこそいないが、心中文化祭に対する怒りでいっぱいだった。

「さあ、どう料理しよっか」

そう呟き、男は人混みの中へと消えていった。



「…やっと逃れられた」

紙田は人混みに乗じて上手く風紀委員長から逃げたのであった

「しかし嫌な奴だな、人が商売してるっちゅーのに!!」

と、理不尽に怒りながら、風紀委員長に蹴られた手を撫でていた

「しかし、あんなに強く蹴ることねーのに、いかんねー最近の若い子は…ん?」


紙田はあることに気付いた。

黒い服を着た、怪しい男に

「演技での増援か?」

そんなわけないだろ、と言いたくなる内容を言ったあと、とりあえず黒い服の男に近づくことにした。

だって怪しいんだもの。


黒い服の男はずんずん歩き、立ち入り禁止の屋上に入っていった。

「?」

―なんであの人…


紙田はそう思いながらも、この男に見つかったあとの言い訳を考えながら、屋上に入っていく。




紙田は屋上に入ると、男の姿はなかった。
辺りを見渡すと、後ろから

「なぜ、わしの後を追っていた」

紙田は首筋に冷たい物を感じた。

黒い服の男がナイフを紙田の首に当てているのだ

「やだなーお兄さん」

頭の中で嘘を次々と考えていたが、どれもいい嘘ではない。
しかし、口ごもるもあれなので、何でもいいやと半ばやけくそに嘘を言った

「俺はただ、屋上から景色を見たかったんだ」

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