成熟と化して

「おまえさんの野望は?」

男の口調が変わる。
紙田に興味を持ったようだった

紙田はもう、この男に警戒はしてなかった。
脅えの色もない


「俺の野望は、とりあえず、日本征服だ」

男は黙って紙田の話を聞く

「そして、世界征服をしようとした前に死ぬ、てのが、夢だ。
そしたら歴史に名を残すだろう。悪名として」

「夢半ばで死にたいのか?」

「うん。別に征服がしたいとかそういうのじゃないから。
ただ歴史に名を残す。
それが俺の夢だ」


それに…と言ったあと

「夢半ばで倒れたほうがかっこいいじゃん」

これには男も苦笑いをする。

―くだらん奴だ、だが面白い


さっきとは違い、豊かな表情になる男
今度こそドアノブに手を伸ばすが、「あ…」という、間抜けな声を発したあと、また動きを止めた。

「あと、紙田…?くん」

「何?」

男は名前が合ってたことに少し安堵したあと

「実はな―」





「くそっ…どこ行った」

風紀委員長は、まだ紙田を捜していた。

「今度こそぶち殺したる」

と、不気味なことを呟きながら、階段を昇っていた
屋上に向かっているのであった。

校舎内では、まだ捜していないのは屋上だという考えに至ったからだ


勢いよくドアを開いた

「紙田ぁ!!!」

一見、だれもいない。
風紀委員長もそう思った。


だがいたのだ、上に。

それには気づかず、風紀委員長は屋上を後にした。


最も、上にいたのは、紙田でも、黒い服の男でもなかったが


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