成熟と化して
「おまえさんの野望は?」
男の口調が変わる。
紙田に興味を持ったようだった
紙田はもう、この男に警戒はしてなかった。
脅えの色もない
「俺の野望は、とりあえず、日本征服だ」
男は黙って紙田の話を聞く
「そして、世界征服をしようとした前に死ぬ、てのが、夢だ。
そしたら歴史に名を残すだろう。悪名として」
「夢半ばで死にたいのか?」
「うん。別に征服がしたいとかそういうのじゃないから。
ただ歴史に名を残す。
それが俺の夢だ」
それに…と言ったあと
「夢半ばで倒れたほうがかっこいいじゃん」
これには男も苦笑いをする。
―くだらん奴だ、だが面白い
さっきとは違い、豊かな表情になる男
今度こそドアノブに手を伸ばすが、「あ…」という、間抜けな声を発したあと、また動きを止めた。
「あと、紙田…?くん」
「何?」
男は名前が合ってたことに少し安堵したあと
「実はな―」
※
「くそっ…どこ行った」
風紀委員長は、まだ紙田を捜していた。
「今度こそぶち殺したる」
と、不気味なことを呟きながら、階段を昇っていた
屋上に向かっているのであった。
校舎内では、まだ捜していないのは屋上だという考えに至ったからだ
勢いよくドアを開いた
「紙田ぁ!!!」
一見、だれもいない。
風紀委員長もそう思った。
だがいたのだ、上に。
それには気づかず、風紀委員長は屋上を後にした。
最も、上にいたのは、紙田でも、黒い服の男でもなかったが