成熟と化して



佐藤は何とかあの鼠専門店から逃れられると、一応トイレに入った。

個室もあるし、隠れるのには最適だった。

安心した佐藤はポケットから携帯を取り出し、メールをしようとした。

それと同時に、またアナウンス音がなった。

ピンポンパンポン

「えー紙田とやぶっちがお送りする、乗っとり。あとは全員殺すつもりだけど、一人だけ生き残れるチャンスを与えよう」

―へー、チャンスね

佐藤は冷めた態度で携帯を打ちながら、アナウンスに流れる声を聞いていた。


「チケットを渡す。世界で一番のチケットだ。直接渡すから、矢渕が。これなくて、逃げようとする奴は、真っ先に殺すから、んじゃ」

と言って、また放送は切れた。


佐藤は動かなかった。
紙田の遊びだと思っていたからだ


しかし、怪しい男は違った。
紙田が言ったこととは別の意味だが、チケットが欲しかった。
チャンスだと思った。


「矢渕が渡す?ならば殺すチャンスじゃんかよ」

そう言って、また捜し始める怪しい男。

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