成熟と化して
※
佐藤は何とかあの鼠専門店から逃れられると、一応トイレに入った。
個室もあるし、隠れるのには最適だった。
安心した佐藤はポケットから携帯を取り出し、メールをしようとした。
それと同時に、またアナウンス音がなった。
ピンポンパンポン
「えー紙田とやぶっちがお送りする、乗っとり。あとは全員殺すつもりだけど、一人だけ生き残れるチャンスを与えよう」
―へー、チャンスね
佐藤は冷めた態度で携帯を打ちながら、アナウンスに流れる声を聞いていた。
「チケットを渡す。世界で一番のチケットだ。直接渡すから、矢渕が。これなくて、逃げようとする奴は、真っ先に殺すから、んじゃ」
と言って、また放送は切れた。
佐藤は動かなかった。
紙田の遊びだと思っていたからだ
しかし、怪しい男は違った。
紙田が言ったこととは別の意味だが、チケットが欲しかった。
チャンスだと思った。
「矢渕が渡す?ならば殺すチャンスじゃんかよ」
そう言って、また捜し始める怪しい男。