成熟と化して
※
それと同時刻。
紙田たちはウーパールーパーを持ちながら、カフェの椅子に座っていた。
「てかさ、俺たちの場所教えてないから、解らなくない?」
「そうだな」
「言わなくていいか?」
「いいだろ。がんばれ」
「じゃあ、いいや」
そう言って、またウーパールーパーを撫で始める紙田。
「ふわあ…」
矢渕は欠伸をしたあと、テーブルにふせはじめた。
※
―見つけた…。
怪しい男は矢渕たちを発見した。
しかし、近づこうとはしなかった。
「ペロリカリカー」
と矢渕の隣に座っている紙田はウーパールーパーの名前を呼んでいた。
―…あっちにしよ。うん
男は堂々と紙田に近づく。
矢渕は寝てるので気づかないという短絡的思考のため。
「あの…」
さりげなく、丁寧に紙田に話かける
紙田は男の方を見た
「なんすか?」
紙田は男を怪訝そうな顔で男を見た。
「矢渕さんと共犯の人だよね…?」
「はい」
「あのチケット…くれないかな?」
「…、いいすよ。でも条件があります、逃げる俺を一時間で捕まえて下さい」
―は?何だこいつ
―舐めてんのか?
「はい。んじゃスタート」
そう言って、勢いよくカフェを出る紙田。
「今から一時間だから」
ニヤニヤしながら男から逃げていった
男も紙田を追いかけるため、走る。
「ぶぁわ~か!!」
紙田は走りながら男に舌を突き出し、挑発する。
「痛たたた…舌噛んだ」
―…バカだろ
男は冷めた目で紙田を追いかける。意外に紙田はそこまで速くなく、安心はしていたが。