成熟と化して


それと同時刻。
紙田たちはウーパールーパーを持ちながら、カフェの椅子に座っていた。


「てかさ、俺たちの場所教えてないから、解らなくない?」

「そうだな」

「言わなくていいか?」

「いいだろ。がんばれ」

「じゃあ、いいや」

そう言って、またウーパールーパーを撫で始める紙田。

「ふわあ…」

矢渕は欠伸をしたあと、テーブルにふせはじめた。




―見つけた…。

怪しい男は矢渕たちを発見した。
しかし、近づこうとはしなかった。


「ペロリカリカー」

と矢渕の隣に座っている紙田はウーパールーパーの名前を呼んでいた。

―…あっちにしよ。うん

男は堂々と紙田に近づく。
矢渕は寝てるので気づかないという短絡的思考のため。


「あの…」

さりげなく、丁寧に紙田に話かける

紙田は男の方を見た

「なんすか?」

紙田は男を怪訝そうな顔で男を見た。

「矢渕さんと共犯の人だよね…?」

「はい」

「あのチケット…くれないかな?」

「…、いいすよ。でも条件があります、逃げる俺を一時間で捕まえて下さい」


―は?何だこいつ
―舐めてんのか?


「はい。んじゃスタート」

そう言って、勢いよくカフェを出る紙田。

「今から一時間だから」

ニヤニヤしながら男から逃げていった
男も紙田を追いかけるため、走る。


「ぶぁわ~か!!」

紙田は走りながら男に舌を突き出し、挑発する。

「痛たたた…舌噛んだ」


―…バカだろ

男は冷めた目で紙田を追いかける。意外に紙田はそこまで速くなく、安心はしていたが。

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