成熟と化して
デートはいつも変わらない。お店に行き、私の欲しい物を男が買うというものだった。
手も繋がず、キスもしなかった
人はプラトニックだの純愛だのと美化したがるが、単純に私はしたくないだけだった。こんな男と
男は特に文句言うわけでもない。いつもニコニコ笑って、黙って私の欲しい物を買ってくれた。
付き合ってみると結構いい人だ。いや、正しく言うと自分にとって、都合がいい人間だ。
私はいつしかこの男を手下、あるいは下僕とみるようになった。
最近、この男に対して口調が厳しくなったような気もした
それでもこの男は私に優しい。いつもニコニコしている。
最初の頃は不気味さなんてなくなっていた。
だんだん好きになっている自分がいた
ある日、好きなゲームの新シリーズが販売された。そのゲームは徹夜で並ばないと買えない程、競争率が高かった。
それを言っても男は笑顔で『問題ないよ』と言い、出掛けていった。
私は感激した。"そこまで私のことを好きになってくれるなんて…!!!"
私はこの出来事で彼一色に染まった。
今思うと、これは好きではなく完璧にこの人のことを下僕と認識した気持ちだったのかもしれない。