妄想ハニー
彼…、豊くんって…。
ちゃんと見ると、かっこいい顔してる。
先輩ほどじゃないけど…わりと雄大くんに近めな顔だった。
『あ、えっとね。
あたしの名前は、佐々木結愛って言うの!』
一瞬失ってしまった言葉を、繕うように高めな声をあげる。
なんなんだろ…この感覚。
誰かの顔を見て、言葉を失ってしまうなんて…
先輩、以来。
「…知ってる。」
『えっ??』
――突然。
静まり返ったこの空間は、あたしの胸をドクンとさせる。