妄想ハニー
「……。」
隣を歩く豊くんも黙っていて、あたしたちは無言のままだった。
…なんだろう。
豊くんを“かっこいい”と思ってから、上手く喋れない。
さっきみたいに、キャピキャピと声を張り上げることができないの。
…だけど。
「…あっ。」
豊くんがさりげなくあたしの腕を引き、道路側からあたしを移動させる。
その瞬間、ビュン、と至近距離で車が風をきった。
…豊くんといる時は、とてつもない安心感に包まれているんだ。