妄想ハニー
『かわいそうに…。』
「ん??なんか言った??」
考えが言葉になっていたみたいで、田中が不思議そうに俺を覗きこむ。
俺は慌てて、『なんでもねぇ』と訂正した。
…本当に、結愛はかわいそう。
先輩が、くるはずないのに。
先輩はきっと、自分からいかない限り、戻ってこないよ。
…結愛がどれだけ大切か、先輩は気づいてないみたいだから。
『…どうかなー。』
先輩が勝つか、俺が勝つか。
勝敗はまだ見えていない。