妄想ハニー


『あぁ~。』



ママの視線をよけるように、天井を見上げるあたし。



…やっぱり。


ママは些細な娘の変化を、しっかり読み取ったらしい。



『…実はさ。』



ごまかせないと思った。


今ここで隠しても、ママに見破られてしまう気がしたの。



『この前話した例の先輩と…別れちゃった。』

「……。」



ママが、驚いたように息を呑んだのを感じた。


それをあえて気づかないフリしたあたしの視線は、天井のまんま。



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