妄想ハニー
チラッと。
結愛が先程までいた空間を見つめる。
わずか、数センチの距離。
こんな至近距離で、結愛は先輩とも話すのだろうか。
…ちょっと、妬ける。
『…つうか、俺もお人よしだよな。』
もし、このまま結愛と別れなければ。
もし、俺が背中を押してやらなければ。
結愛は俺の側にずっと、いたかもしれない。
…でもさ。
先輩を失った結愛は、笑顔がなく、輝きが足りない。
心を先輩のとこに置いていってしまったような…そんな感じ。
そんな結愛、見てられなかったんだ。