妄想ハニー
そうと決めたら、突如Uターン。
トイレに向かっていた足を回れ右をして、出口の方へと向かう。
――あとから思えば、
この時、あたしが勝手に帰ろうとしてなかったら。
あたしが周りの空気を読む子だったら。
彼、との出逢いは存在しなかったかもしれない。
出口のところまで来たら、一瞬足を止める。
さっきまであたしが座っていた場所は、ガラス越しに出口がよく見えるところ。
ここでバレてしまったら、逃走計画は失敗してしまう。
あたしは果歩たちが座ってるテーブルと、先に伸びている通路を交互に見る。
そして、タイミングを計って出口から脱出した。
その時だった。