妄想ハニー
すかさず逃げようとした先輩の手を、逃げられないぐらいギュッと掴む。
先輩は諦めたのか、すぐに力を抜いて、あたしのなすがままになっていた。
――そりゃあ、妄想とは程遠いけど。
中庭でお弁当を食べられただけで、一歩前進。
そしてこれからも、雄大くんと作ったマニュアルを、先輩と歩んでいくのだろう。
…覚悟してね??先輩。
あたしは先輩の手のひらに力を込めると。
ギュッと握りしめながら、中庭へと駆け出したのだった。