妄想ハニー
…でも、いいの。
先輩があたしに微笑みかけてくれた。
この事実だけで幸せだから。
あたしは顎の下で指を組み、うっとりしながら、さっきの笑顔を頭のなかで再現する。
しっかりと頭に録音した王子様スマイルは、24時間再生可能だ。
『…あたし、王子様を探していたんですよねー。』
王子様スマイルで調子づいたあたしは、淡々とした口調で話し出す。
だって、今のあたしは絶好調。
怖いものなんて、ないんだから!