春も嵐も
そう考えると、とてもあたしの家に案内できないわ。

と言うか、お父さんにも会わすことも許さない。

「とにかく…今は用事があるから案内して欲しいし、君のお父さんと話がしたいんだ。

頼む!」

片手を顔の前に出すと、男はお願いのポーズをした。

仕方ない、そうしよう。

何かあったら警察に電話すればいい訳だし、最悪の場合は大声を出して近所に助けを求めればいい訳である。

「わかったわ」

あたしが返事をすると、
「ありがとう」

男が白い歯を見せて笑った。

歯みがきのCMみたいな爽やかな笑顔だった。

*゚。弥生Side。゚*END
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