春も嵐も
あの盆踊り以来、美波さんは杉里さんとうまく行っているようだ。

こちらの方は順調で何よりだが、問題は商店街存続の方である。

「何しろ敵は資産家、手強いったらありゃしない。

今は何とか冷戦で耐えているからいいものの、そのうち向こうが大砲を使ってくるかも知れないわ」

そう言った美波さんに、
「大砲!?」

俺と弥生は聞き返した。

「金と権力と言う名の大砲を使って、商店街を奪うかも知れないわ」

「最低最悪!

卑劣も卑怯もいいところだわ!」

ダンッと、弥生が拳でちゃぶ台をたたいた。

「金持ちの人間はそんな武器しか使えない能なし豚ヤローよ!」

弥生が吐き捨てるように言った。

おいおい、女の子…って言うほどでもないけど、“豚ヤロー”はなあ。
< 129 / 211 >

この作品をシェア

pagetop