春も嵐も
「あんたねえ、私が大人しくしてるなんて思わないでちょうだい!」

藤見椎葉が怒鳴ってきた。

「へえ、資産家のお父様に頼んで余り過ぎてる金と権力の大砲を投げるの?」

冷静な口調で言った俺に、藤見椎葉が黙った。

おいおい、図星かよ。

俺も強運を持ったもんだな…なんて言うのん気なツッコミは後回しにした。

「そんなもんしか使えないの?

ヒマ…って言うか、最低最悪もいいところだね。

金と権力を使えば欲しいものが何でも手に入ると思ってんの?」

俺の言葉に、藤見椎葉はググッと再び貝のように黙った。

もはや、何も言い返せないのか?
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