春も嵐も
「って言うかさ…商店街の視察にきてるくらいなら、新しい服のデザインでもすれば?」

俺の攻撃――正しく言うなら“口撃”――に、藤見椎葉は言い返せない様子だ。

俺の口のすごさは母親譲りである。

ただし、口ゲンカでは母親に勝利した試しはないけど。

藤見椎葉は俺に背中を見せると、ヒールをコツコツと言わせながらその場から立ち去った。

…これって、俺の勝ちなのか?

炎天下の中で目をパチパチさせている俺に、
「よくやった!」

その声に振り返ると、美波さん…と弥生を含める商店街のメンバーがニヤニヤと笑っていた。

すみません、いつの間にそこにいたんですか?

と言うか、ニヤニヤが不気味です…。
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