春も嵐も
「令嬢藤見椎葉を退治するなんて、たいしたものだわ!」

バシバシと、美波さんが俺の背中をたたいてきた。

「イデデ…」

やめてくれと言っても、無理だろう。

そもそもこの人の辞書に、“やめる”と言う3文字はない。

「さすが、寛さんとこの息子さんだ!

勇者だよ!」

そう言って親父を褒めているのは、美波さんのお父さんである。

似た者親子とは、まさにこれのことだと俺は思った。

褒められている親父は、呆れ顔をしていた。

何となく迷惑の色が見えるのは、俺の気のせいだろうか?
< 137 / 211 >

この作品をシェア

pagetop