春も嵐も
そう思っていたら、親父の息の吐く音が聞こえた。

「誰に似たんだろうな」

呟くようにそう言って、親父はまた息を吐いた。

「親父に似たんだと思う」

俺がそう言うと、親父は驚いたように目をあげた。

「口ゲンカに関しては母さんに似たんだろうと思うけど、間違ったことが許せない性格は親父に似たんだと思う」

そう言った俺に、
「お前は、俺を父親だって思ってるのか?

血の繋がりがないかも知れないのに」

親父が聞いてきた。

そんなことは簡単だ。

「思ってるさ、親父に初めて会った時から思ってる」

俺は言った。
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