春も嵐も
「母さんと俺を置いて出て行ったから、ロクでもナナでもない親父かと思ってた。

けど…実際に会ってみたら、全くと言っていいほどに違ってた。

人情味のある粋な人だったから。

突然転がり込んできた俺を追い出すこともしなかったし…まあ、半分は俺の無理やりで同居することになったんだけど」

そこまで言ったところで、グシャッと髪を乱暴になでられた。

「デカい口をたたいてるんじゃないっつーんだよ」

「イデデ…」

俺の髪は天パーなんだから、少しでも乱暴にされると後が大変なんだよ。

「後の半分は俺の勝手だ」

…はっ?

親父の言っている意味がわからなかった。
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