春も嵐も
親父の勝手って、何だよ?

「何だよ、それ」

首を傾げている俺に、
「勝手は勝手だ」

親父は頭に乗っけていた手を離すと、背中を見せた。

何事もなかったと言うように、俺の前から立ち去って行く。

何か知らねーけど、一応息子として認められたのか?

「じゃないの?」

その声に振り返ると、今度は弥生がいた。

「んだよ、いつからいたんだよ」

「今さっき」

とぼけるように弥生が答えたけど、その様子からして見ると最初からいたようだ。

「それよりもお風呂、出たから早く入んなさいよ」

短い髪をタオルで拭きながら、弥生が言った。
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