春も嵐も
入んなって…女の子と言う年齢でもないけど、そんな言葉を使っていいものかよ。

「あいあい、わかったよ」

そう思いながら俺は返事をした。

「あ、それと…」

弥生が思い出したように言った。

「んー?」

まだ何かあんのかよ。

「…今日、かっこよかったよ」

呟いているような小さな声が俺の耳に入ってきた。

そう言った当の本人である弥生は、うつむいていた。

顔が見えないから、どんな様子なのかよくわからない。

まあ、いいけど。

そんなことを思いながら、俺は弥生に背中を見せると、この場から立ち去った。
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