春も嵐も
*゚。弥生Side。゚*

いつもの物干し場に、あたしは嵐を呼び出した。

夜空の下で、2人でその場に腰を下ろした。

「それで、話って何だ?」

嵐が首を傾げてきた。

「藤見のお嬢のことなんだけど」

「ああ、それで?」

「嵐を盾にして、商店街売却をしようとしてるんじゃないかって」

「何だって!?」

嵐が身を乗り出してきた。

「待って、あくまでもトーゴちゃんが言ってた推理だから」

身を乗り出していた躰を嵐は引っ込めた。

「嵐を好きになったって言うのは立て前で、本当は嵐を利用して商店街を売却しようとしてるかも知れないって」

そう言ったあたしに、
「…なるほど、な」

嵐は呟いた。
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