春も嵐も
何を言われても言い返せるように、何をされてもやり返せるように、俺は身構えた。

大金を積まれようが権力で脅されようが、そんなものは俺に関係ない。

むしろ、上等だ。

この商店街を守るためだったら、何でもしてやろうじゃん。

代表として、迎えてやろうじゃん。

「パパ、お願い」

藤見父の顔が俺たちに向けられた。

その瞬間、サッと藤見父の表情が変わった。

彼の目は、俺を見ている。

「――紀子さん…」

「えっ?」

一瞬、何を言われたのかよくわからなかった。
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