春も嵐も
8.親父と息子
――私と紀子さんの子供だ

藤見父から告げられた言葉に、胸が痛くて仕方がない。

亡くなった母さんの遺言書と形見のペンダントを頼りに、この商店街を訪ねた。

遺言書にも、父親は増田寛――親父だって書いてあった。

だから、親父だと信じた。

血が繋がっていようがいまいが、親父だと信じていた。

けれど、違った。

――そのペンダントは私がプレゼントしたものだ

ウソだ。

ウソだ。

ウソだ。

ウソだ!

そう思いたい。

そう信じたい。
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