春も嵐も
して欲しいって、俺は何をするんだ?

それが面倒なことではなければいいのだが。

「…何でしょうか?」

「実の息子である君に、私のことを“お父さん”と呼んで欲しい」

藤見父の目が少しだけ潤んでいたのは俺の気のせいだろうか?

離れていた実の息子に会えたことに、うまくは言えないけど嬉しかったのかな?

俺は約束通り、
「お父さん」
と、呼んだ。


「嵐!」

藤見邸を出た俺を迎えてくれたのは、親父だった。

「帰ってたんじゃなかったの?」

俺がそう言ったら、
「危ない息子を置いて、1人で帰れる訳ないだろ」

心配そうな顔で親父に怒られた。
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